Q.「受益者連続型信託」とは、どのようなものですか?
A.信託行為において、受益者が死亡した場合の次の受益者を定めておくことができます。また、受益者の死亡以外の変更自由を定めることや受益者を指定する権利や変更する権利を持つ人を定めることもできます。このように受益者が連続する信託のことを「受益者連続型信託」と呼びます。
A.信託行為において、受益者が死亡した場合の次の受益者を定めておくことができます。また、受益者の死亡以外の変更自由を定めることや受益者を指定する権利や変更する権利を持つ人を定めることもできます。このように受益者が連続する信託のことを「受益者連続型信託」と呼びます。
A.物理的には可能ですが、税務的、信託の本来の目的に対しても問題があると言えます。
相続税対策の一環として、年間110万の基礎控除内で生前に金銭を推定相続人に贈与するという手法はよく使われます。但し、この手法は数年かけて行われるため、その間に贈与する人(=現在財産を持っている人)が認知症などで判断能力がなくなると、途中で贈与できなくなるリスクがあります。
そこで家族信託を使って受託者が継続的に贈与を実施するというスキームが注目されています。確かに家族信託では受託者が金銭を預かっているため、贈与者である委託者の判断能力がなくなっても物理的に親族に贈与をすることは可能です。
しかし、信託とはあくまで実質的な財産所有者である受益者のために財産を管理するのが目的です。親族への贈与は相続人である親族のためにはなりますが、受益者のためにはなりません。
また、贈与とは贈与者(=財産をあげる人)と受贈者(=財産もらう人)との契約があって初めて成立するものです。しかし、上記のスキームではその契約は成立していません。そのため、将来相続が起こった時に、税務署から贈与が否認されるリスクがあります。
現在では受益権を譲渡して生前贈与を実施するというスキームもあるようですが、これが税務上認められるかは定かではありません。
どうしても信託を使って生前に贈与をしたいという方は専門家と協議することをお勧めいたします。
近年、いくつかの社会的要因に伴い、家族信託の普及が少しずつ進み始めています。
最近では、テレビや雑誌等で大々的に取り上げられたことが、最近の認知度の急激な高まりの大きな要因です。
■モラルと知識を備えた専門職が不足しているのが現状
急激な認知度の高まりは、家族信託の適正な普及についてのリスク要因になり得る可能性があります。
考えられるリスク要因としては、モラルと正しい知識を備えた専門職の数があまり多くないことです。
一般の方にとってみれば、相談する相手が本当に家族信託のエキスパートなのかを判断することは難しいです。
しかも、家族信託の業務の性質上、問題やトラブルが起こる頃には手遅れになっている可能性があります。
税務上のグレーゾーン等をメリットと謳い家族信託の利用を促す危うい専門職もいます。
弊社は関西でいち早く家族信託に取り組み、50件以上の取引経験があります。家族信託は、メリットの大きい制度ですが、万能ではありません。
あくまでも一つの手段に過ぎません。
それぞれのご家族の想いを踏まえた上で、前向きに相続対策に取り組めるオーダーメイドのプランをご提案いたします。
【状況】
長男Aは、亡くなった父所有のアパート(収益不動産)を、次男B・三男Cとで3分の1ずつ共同相続し所有しています。
アパートの管理は、甥Y(Bの子)が行い、定期的にABCへ賃料収入の分配を行っています。
兄弟間には、老朽化が進んできたアパートをいずれ売却しようと漠然とした合意はある状況ですが、時期は未定です。
最近、長男Aの体調が悪く、物忘れもひどくなってきています。
長男Aの相続人は海外に住んでいる一人息子Xのみですが、次男B、三男Cとあまり仲が良くありません。
もし、不動産の共有持ち分3分の1を息子Xが相続すると、円満な共有関係が崩れてしまい、売却をしようとしたときに息子Xに反対されてしまう恐れがあります。
【問題・リスク】
①息子Xが将来的に長男Aの持分を相続すると、円満な共有関係が崩れ、管理や売却の際に支障が出る可能性がある
②A、B、Cともに高齢のため、認知症や相続発生などによって売却手続きがスムーズにできなくなる可能性がある
Aさんは単身者です。高齢になり、一人暮らしだと不便が多く、近くに住む甥夫婦が、Aさんの面倒を見てくれており、とても感謝しています。
三男Cはすでに亡くなっておりAさんは、自分が亡くなったら財産はすべて甥夫婦に渡したいと思っていますが、その代わりに今後も面倒を見てほしいと思っています。
最近、物忘れも増えたようで体調にも不安があるため、早めに手続きしておいきたいと思っています。
【問題・リスク】
①認知症になってしまったら、口座からお金をおろすために成年後見人が必要になる。しかし、成年後見人は家庭裁判所が選任するため、誰が選任されるかわからない。
②Aさんが亡くなった場合の相続人に次男Bも含まれ、もしBさんが先に亡くなっており子供がいた場合、遺産分割協議に加わることになり、全員が合意しないと前に進めない。
【問題・リスクに対する要望】
①甥夫婦に今後も面倒を見てもらいたい。
②甥夫婦に自分の財産を渡したい。
本日、近畿税理士奈良支部の約150名対象にして、事業承継信託をテーマに税理士会の研修講師をさせていただきました。
大手外資系金融機関姫路支社にて姫路支社営業マン対象に家族信託研修講師をいたしました。